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2006年02月16日

フロント勤務の頃の体験談です。

あるスポーツ競技の各国チームの選手達が宿泊していました。
アフリカのある国のチームの女性選手が、フロントへやって来ました。
「この近くで、籠バックを売っている店はある?」
「専門店はこの辺にはないですが、お調べしましょうか?」
「あなたは、籠バック持ってる?」
「持ってます」
「籠バックは好き?」
「好きです」
そして、彼女は笑顔で去って行きました。
よくわからず、質問されるがままに答えた私。一体、何だったんだろう?

しばらくして、さきほどの彼女が現れました。
両手と小脇に、たくさんの籠バッグを抱えて・・・。

彼女の国のチームは、ワールドカップに参加するのは今回が初めてでした。
彼女の国は、おそらく裕福ではありません。
せっかく豊かな国・日本に来たのだから少しでも稼いで帰ろう。
まずは、一番身近で声を掛けられるホテルスタッフからだ!
たくましさを感じました。
日本人が海外旅行に行ったとしても、ほとんどの人が考えも及ばない発想でしょう。

ベルガールさんも私と同じパターンにはまったそうです。
お互いに苦笑いしました。


私のように、聞かれたことにただ反応して答える、まったく受身な会話。
それだけでは、お客さまが何をしたいのか聞き取ることはできません。
常に、お客さまが何をしたいのかを意識して会話する。
すると、質問に答えるだけでなく、質問をして聞き出す(引き出す)ことができます。

今思い出しても、私はお客さまから引き出すよりも、聞かれることに答えることがほとんどでした。
サービスを提供する仕事に就いている人間の会話ではありませんでした。お粗末過ぎます。

この会話はどこに向かっているのか、お客さまはどうしたいのか、“会話の先を読む力”。
そのために、“お客さまと共に会話を作り出す力”。


さまざまな国のお客さまと接する機会が多い職場では、特に高めておきたい能力のひとつです。

written by hamabata

2006年02月04日

映画『THE有頂天ホテル』のワン・シーン。

レストランで仲良く男女が食事をしています。

男性が、“灰皿”を“取り皿”と勘違いし、女性に料理を取り分けている・・・。
ご当人達は、いっこうに気づく様子はありません。

そこで、役所広司演じる副支配人は、他のテーブルの灰皿をすべて回収し、
全く雰囲気の違う会議室の灰皿に替えるよう指示します。
お客さまに恥じをかかせない、嫌な思いをさせない、心に視点を置いた判断をします。

このワン・シーンは、映画用にデフォルメされているわけでないと思います。
ホテルは、有り得そうもないことが、本当に起こってしまう空間です。
ホテルマンは、常に、その場その場で、最良の判断をしなくてはなりません。

“機械”でなく、対“人間”。
“ロジカル”で動く仕事じゃなく、“心”で動く仕事。
“知識”よりも“知恵”が必要です。

“心”だから、解決策はひとつではありません。

お客さまの数だけ、ホテルマンの数だけ、あります。
いくつも答えがあるからこそ、最良の判断をしなくてはいけない。
むずかしいですね。

この映画のワン・シーンのように、今でも鮮明に脳裏に焼き付いている体験が私にもあります。
フロント・ロビーに感じの良いご婦人が立っていて、お連れの女性と談笑しています。

私は、ギョッとしました。何を見て、ギョッとしたのか・・・。

なんと、トイレットペーパーが、ご婦人の足をつたい、ロビーの絨毯にまでダラ~リ垂れています。
見る限りでは、トイレットペーパーは、スカートの中へと続き、どうも下着に巻き込んでいる様子。

どうしてこんなことが??
一瞬、私の頭の中は、パニック状態に陥りました。

まったく気づいていないご本人に、こんな悲しすぎるバッド・ニュースを、どういうふうに伝えたらいいのでしょう?

お客さまと私達スタッフの置かれている状況を冷静に把握し、その時、私にできる最良の判断をしたつもりですが、
それが正しい答えだったかどうかは今もわかりません。


あなたは、どんな最良の判断を心がけていますか?

written by hamabata