学びコラム

山のパン屋さんがつくっているもの


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ゴールデン・ウィーク。
一度行ってみたいと思っていたパン屋さんに行ってきました。
和歌山県紀美野町。
山の上にあるパン屋さん 『ドーシェル』です。
http://web.wakkun.or.jp/01617.htm

パンがおいしいのはもちろん、山の上だけあって空気もおいしいのです。
景色もよいので、さらにパンがおいしく感じます。
食べ物は単に空腹を満たすためだけでなく、体に必要な栄養素を補給するだけでもありません。
私たちの気持ちも満たすものです。
この山のパン屋さんでは、パンをつくっています。
と同時に、訪れた人の心も満たす環境もつくっています。
こんな(というと失礼ですが)山奥でも、どこからともなくやって来た人と車でいっぱいです。
パンを買うだけなら、街中のパン屋さんでも買えます。
わざわざこの山のパン屋さんに来る理由は何なのでしょう。
人がリラックスできる環境。
心に新鮮できれいな空気が流れる環境。
これが、この山のパン屋さんがつくっているものだと思います。
コミュニケーションでも同じことが言えます。
リラックスできるコミュニケーション環境。
プラスの言葉をつくります。
互いの間にプラスの言葉が流れる環境。
互いの心に安心感や信頼をつくります。
コミュニケーション環境は、自分たちでつくるものです。


カーテン越しに始まった会話


“人の行動は、興味深いものだ” という体験をしました。
ある打ち合わせでの出来事です。
打ち合わせの席は、片面がカーテンで仕切られていました。
私はとりあえず椅子にかけて待つことに。
そこに、打ち合わせの相手(Aさんとします)がやって来ました。
このAさん、どういうわけか、カーテンの向こうから上体だけをのぞかせています。
テーブルを挟んで、私の前の席に座るのかと思いきや、フェイントです。
カーテンの陰越しに、半分体を出して(顔は全部出していました)、会話が始まりました。
こんな状況あり??
おもしろすぎる!!
この状況で、打ち合わせ内容に入るの?
ろくな話ができないでしょう。
まず、Aさんにカーテンの陰から出てきてもらうのが先です。
Aさんと共通の話題を探し出しました。
けっこう専門的なことでしたが、前職のホテルでの経験が功を奏しました。
思わぬところで発揮できました。
経験に無駄なことはひとつもないものですね。
この共通の話題で、Aさんは、カーテンの陰から抜け出しました。
でも、立ったまま話しています。
もう一歩です。
Aさんの価値観に触れてみました。
がっちりヒット!
いろんな資料を持ち出してきて、椅子に座って饒舌に話し始めました。
打ち合わせに入るまで、少し時間はかかりましたが、後はスムーズに進みました。
今回は、人の行動変容を目の当たりにしました。
カーテン越しの会話 → 立ったままの会話 → 座っての会話 → 打ち合わせに入る
Aさんは、シャイな人でした。はじめだけ。
初対面の私を警戒していたのかもしれません。
行動の変化には、会話がおおいに影響する、ということを学びました。
それにしても、興味深く、楽しい体験でした。


インプットとアウトプット 学ぶと教える


ある勉強会に参加しました。
学んだことを人前で発表する形式の勉強会でした。
私にとっては未知の分野です。
発表を聞く側です。
5人がそれぞれの発表をしました。
「インプットしたことをアウトプットする = 学んだことを人に教える」
教えるための準備段階で、自分の理解度が明確になります。
あやふやな部分が際立ちます。
この部分がまだ理解できていない。
自分のものになっていない。
理解できていないまま、教えるのはあまりにも無謀ですよね。
こういう発表の場は貴重です。
聞き手からの感想や質問で、さらに明確になるからです。
学んだけれど判らない、という人もいるでしょう。
そういう人には、「アウトプットしてみた?」と質問したくなります。
アウトプットすると、判らないところがどこか判ります。
『10』をインプットしても、まったくアウトプットしなければ『0』と同じです。
学んだ『10』は、仕事や日常で誰かに教えたり伝えることで、確実に『10以上』になります。


プロフィール写真と婚礼ビデオ


プロフィールの写真を替えました。
写真に写った自分の顔は、いつも自分で見ている顔と違うような気がしてなりません。
人に言わせると、「いつも、こんな顔してるよ」
そうなんですね。 はい、了解!
人に言われて、やっと客観的に自己認識できました。
ホテル勤務していた頃のエピソードを思い出しました。
私の体験ではないのですが、婚礼担当だった人から聞いた話です。
ある両家の婚礼が終わっての後日談です。
新婦の母親が、来館され、こう言ってこられたそうです。
「ビデオ撮影のカメラマンの腕が悪い。娘がきれいに映っていない」
この婚礼担当者は、新婦の母親と一緒にビデオを見て、率直に伝えました。
「お嬢様、とてもお綺麗ですよ」
この言葉に、新婦の母親は納得なさったそうです。
どうも、親戚の誰かに、映りが悪いみたいなことを言われたのが原因だったようです。
人の言葉に左右される。 誰にでもあることです。
特に、お祝い事で、良くないことを言われると、いつもより敏感に反応してしまいます。
一生に一度(最近はそうでもないけれど)、ずっと残る思い出です。
言葉の持つ力の影響力は大きい。
そして、主観と客観のギャップを埋める言葉の持つ影響力も大きい、と言えるでしょう。


プラスのパワー


仕事でお世話になっている方に、お祝いとお礼のハガキを出しました。
その方から、すぐに返信をいただきました。
私の出したハガキの言葉に、勇気づけられた、と書いてくださっていて、
とてもうれしくて温かい気持ちになりました。
その方からは、いつもプラスのパワーをいただいていましたが、
また、プラスのパワーをいただきました。
私の出したプラスの言葉は、その方を通って、プラスの言葉が生まれ、
再度、私のところに、さらに大きなプラスのパワーを持って戻ってきました。
お帰りなさーい!
また、どんなに前向きな人でも、しんどくなることはもちろんあります。
そんな時、
自分の指針は何か? 力が湧いてくる源は何か?
をわかっていると、プラスのパワーが生まれます。
どんなことからでも、プラスのパワーは生まれるのです。


コーチングも仏教も同じことを言っている


先日、いつもお参りする近くのお寺に立ち寄りました。
さいだねブログにも登場したことのあるお寺です。
http://d.hatena.ne.jp/saidane/20071103/p1
「ご自由にお持ちください」
“今日の法話”と書かれたB5サイズの用紙が置かれていました。
今日の法話の内容は、

私たちはいつも自分を中心にものを見ては、自分だけの利益を求め、
自分の立場を正当化し、なかなか他人の立場を受け入れたり、認めたりしようとしません。
だから憎しみを持ち怒りの苦しみを抱えているのです。
争いを起し、又不満を抱えて苦しんでいるのです。
つまり私たちは自分に執着する余り「思いやり」とか「優しさ」という心を忘れて
争いや憎しみの炎を燃やし、又十分なものを得ていながら満足するという心を失って
苦しみを作っているのです。
この醜い心に気づいて反省し、正しい心を取り戻すことが大切です。
夢でうなされて苦しい時、どうしたら逃れられるでしょうか。
それは目覚めればいいんです。
現実も同じです。このことを教えるのが仏教です。
                                 伽羅陀山 延命寺

私は特定の宗教を信仰していませんが、この仏教の法話は、
私がコーチングを通じて伝えたいことと重なる部分が多くあります。
特に最初の2行。
私の場合、この考え方を手放すきっかけになったのが、コーチングでした。
すると、自分の中にある「思いやり」や「優しさ」に、自分自身、触れるようになってきました。
これが、この法話の最後にある、目覚める、ということのように感じます。
コーチングも仏教も同じことを言っているのです。
やはり、そこが人間にとって大事だから。
ちょうど新人研修に出かける前に立ち寄ったお寺で、
私が研修で伝えたいことの背中を力強く押してもらえました。


伝われば、それでよい


ホテルで働いていた時のこと。
お客さまの予約を電話で確認する時、一文字ずつアルファベットをスペルアウトします。
ホテル業界では、アルファベットは、主に国名や都市名でスペルアウトします。
アメリカ A / ボンベイ B / チャイナ C / デンマーク D
航空会社では、主に人名です。
M for Mike(マイク) / N for Nancy(ナンシー) / O for Over(オーバー) /P for Peter(ピーター)
国名と人名、どちらでもよいのです。
相手に正確に伝われば、それでよいのです。
コミュニケーションの基本は、相手に伝わるかどうか。
伝える内容はひとつでも、伝え方は、ひとつではないということ。
ハウツーは、いろいろ。
どれを選択するかは、自分の置かれている環境や状況によって違ってくるだけです。
表現の引き出しは、たくさん持っていたほうが、コミュニケーションの幅は広がります。


切り離さない、距離を置かない


仕事や職場での問題や悩みというのは、誰にでもあります。
コーチングでは、クライアントさんが頻繁に取り上げるテーマでもあります。
クライアントさんが自分の持っている問題や悩みを話す時、
どんな話し方をしているのかがとても大切です。
たいていの問題や悩みには、人間関係が絡んでいます。
部下であったり、チーム内のメンバーであったり、お客さまであったり・・・
たとえば、部下との関係や部下自身に問題を感じているとします。
部下との関係に問題意識を持っていたり、悩んでいるのは、
上司であるクライアントさん本人です。
しかし、部下自身が問題であるかのように扱い、対象化する。
クライアントさん自身と切り離して話す、距離を置いて話す、ということがよくあります。
クライアントさん自身は、蚊帳の外。
まるで、自分自身を部外者のように、
その状況や環境の中にいないかのように扱います。
その状況や環境の中にいるから、
クライアントさんにとって問題や悩みとなっているはずなのですが。
その状況や環境の中に、自分を置いてみて、
どう見えるか、どう感じるか、が大切です。
その中に、自分を置いてみて、外からでも、上からでも、
もう一人の自分の目で見てみましょう。
その中に、あなたが不在だと、見えるものも見えないですし、
感じるものも感じ取れないのです。
あなた自身が、どうあるのか?
自分自身を切り離してしまうと、問題を解決する遠回りになってしまいます。


“決意”は、“準備”が整った証


私のコーチとしての主軸の仕事は、パーソナル・コーチングです。
パーソナル・コーチングとは、個人個人とコーチングの契約をし、
最低3ヶ月は、その人の仕事やプライベートでの達成したいことや変化を起こしたいことなど、
コーチングというコミュニケーションでサポートしていく、というものです。
コーチングを受ける人を、「クライアント」と言います。
クライアントさんは、自分で決めたことを、次のコーチングまでに実践します。
決めたことを実践する。
これを、“宿題”と呼ぶクライアントさんもいらっしゃいます。
何人ものクライアントさんが、同じ言葉を口にします。
それは・・・
「不思議なんですよ。
 浜端さんと宿題を約束すると、その宿題に必要なことが現実に起きるんです」
私が無理やり宿題を出しているわけではありません。
何をするのか決めるのは、常にクライアントさんです。
クライアントさん自身が、
「これをやってみよう」
「これだったらできる」
「心から取り組みたい!」
「かなりのチャレンジだけれど、やってみるか!」
人それぞれに、みなさん自分自身で決意するのです。
もちろん、自分の決意に対して、尻込みする時もあります。
しかし、コーチが決めたことでなく、自分で決めたことです。
尻込みしても挑戦してみる。
それが決意です。
決意は、クライアントさんの準備が整った、ということです。
準備の整った人には、必要なことが事実として起こります。
決意は、必要なことを引き寄せます。
今までのコーチとしての経験からの法則です。


医療に関わるすべての人に観てほしい映画 『潜水服は蝶の夢を見る』


フランス映画 『潜水服は蝶の夢を見る』は、さまざまな視点をもって観ることができる
すてきな映画です。
さいだねブログでも書いています。
生きることそのものが“さいだね” 『潜水服は蝶の夢を見る』
http://d.hatena.ne.jp/saidane/20080311/p1
この映画は、コミュニケーションという視点から観てもピカイチではないでしょうか。
主人公は、ある日突然、脳梗塞で倒れます。
全身麻痺。
動くのは左目のみ。
左目の瞬きだけで、コミュニケーションします。
そして、一冊の本を書き上げます。
映画の映像の大部分が、主人公の目に映る映像、
左目のみの映像で展開していきます。
意識は明確だけれど、身体が動かない人の心の動きがよく分かります。
ほんのちょっとしたこと、些細なことが、本人にとっては、ものすごく大きいことだったり、
楽しみを奪われることだったりします。
本人と、医療者など周囲の人とのコミュニケーション・ギャップが存在します。
と同時に、言葉でコミュニケーションできなくても、確かに心が通じ合うのです。
医療者の関わりは、とても大切だと思いました。
根気よくリハビリをし、少しずつ少しずつ身体機能が回復していきます。
そこには希望があります。
しかし、次の瞬間には、死が待っている、という現実もあります。
医療者は、ただ手が動くように、足が動くように・・・
患者の身体機能向上のためだけに、患者と関わるのではないのです。
患者の人生、生きる喜びに関わる人たちなのです。
たとえ、死が待っていようとも。
患者の目線で見てみると、今までと違った何かが見えてくるでしょう。
理学療法士、言語聴覚士、作業療法士、看護師、医師・・・
医療に関わるすべての人に観ていただきたい映画です。
映画 『潜水服は蝶の夢を見る』
http://www.chou-no-yume.com/main.html


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