学びコラム

透明な軸


ゴーデンウィークも終わりましたね。
ホテル勤務の頃とは違って、今は日祝に休めます。
そして、ホテル勤務の頃のように、今は平日も休めます。
今の仕事のスタイルが、私には合っているようです。
偶然に合ったスタイルが見つかったのではなく、自分で合うスタイルを見出しました。
時間も仕事も自身も、自由にマネジメントする。
創り出す、と言ったほうがしっくり合います。
大切なことは、今までの自分をいったん手放すこと。
今までの考え方や生活、フタをしておきたいことなど、すべてをひっくるめて
自分自身に向き合って、いろんなものを手放すこと。(山あり谷ありです!)
山越え谷越え、
自分がシンプルになればなるほど、無駄な動きが減ってきます。
シンプルになると、本当に必要なことだけが浮き上がってきます。
そして、自分の中にまっすぐ貫く透明な軸が見えてきます。
これがコーチングの静かなるダイナミズム。私はそう感じます。


豊かな時間をつくる


今年に入って、読んだ本は約20冊。
今年はなかなか快調です。
それに、読んだ後、充実した気持ちになる本ばかりです。
誰かが話していたのか、何かで読んだのか、
こんな言葉を思い出しました。
「読んだ本の中で、1割ぐらいしか役に立つことが書かれていない」
その時は、なるほど~と共感しました。
どうして共感したのか?
当時の私は、ビジネス書やハウツー本ばかり読んでいたからです。
“答え”が載っていないか一生懸命探していました。
答えを求めて、ビジネス書やハウツー本を読んでいた私には、
上記の言葉がピッタリ当てはまりました。
自分のほしい答えがどこかに書かれているのではないかと探していた時は、
「9割の時間を無駄に費やしてしまった」というなんとも寂しい考え方をしていました。
ビジネス書やハウツー本に、ヒント以上のものを求める読み方をすることで、
時間さえも無機質なもののように扱っている自分がいました。
コーチングの基本にある考え方
~答えは自分の中にある。
 (その人の答えは、その人の中にある)
自分の答えは自分の中にしかない、と骨身にしみている今は、
自分が読んでみようと選んだ本なら、どんな本を読んでも、
豊かな時間を過ごすことができます。
答え探しのために、読書するのではないから。
未来の豊かな時間を創り出していくために、
これからもいろんな本との出会いがあるのだと思うとワクワクします!


相手の受け取ったことが、自分の伝えたこと


仕事が溜まっているけれど、明日は午後から席を外さないといけない仕事ばかり・・・。
よし!明日、朝早く出勤してがんばろう!
翌日、1時間早く出社して仕事を開始。
ほどなく、他部署の管理職Aさんが出勤して来ました。
「朝早くからご苦労さま。がんばってるね」
と声をかけてくれます。
と、ここまではいい感じ。
Aさんは私の向かい側の席に座り、あーだこーだと世間話を始めます。
どーでもいい話だけれど、聞かないわけにもいきません。
仕事が出来ずに、心の中ではイライラ。
悲しいかな、顔は笑顔。
早く出社したけれど、結局、まったく仕事がはかどりませんでした。
こんなことなら、1時間ゆっくり寝たかった~。
仕事するために早く来たことを伝えたのに、どーして私の前に居座るの?
仕事させて~! お願い~!
伝えたにもかかわらず、やりたいことができない状態。
こんな経験ありませんか?
当時は、コーチグのコの字も知らなかったので、
「Aさんのせいで、まったく仕事が進まなかった。デリカシーのない人」
と、ひとりで怒っていました。
この状況を、今ならどうするだろう?
仕事が溜まっているので、早く出社したことは伝えました。
しかし、Aさんは座って話し出しました。
と、いうことは、私がこの1時間で溜まっている仕事をしようとしている状況が
Aさんに伝わってない、伝え切れていない、ということです。
ここに、コミュニケーションのギャップが生じます。
おまけに、私は笑顔でAさんの話を聞いているのです。
聞いてくれているから、Aさんは話ができる状況と受け取ったのでしょう。
“相手の受け取った分が、私の伝えたこと”なのです。
このことを理解していると、状況を変えることができます。
本当に言いたいことを伝えることができます。
コミュニケーション・ギャップの解消へとつながります。
たとえば、
「9時までに仕上げたい仕事があるので、
  お昼休みにでも話の続きを聞かせてもらっていいですか?」
とさわやかに伝え、仕事に集中することもできるでしょう。
そして、相手が受け取りやすいように伝えることも大切です。
毎日欠かすことのないコミュニケーションについて、
私たちは、わかっているようで、わかっていないことが多いのです。
しかし、コミュニケーションは、技術(スキル)ではなく、
その人自身の表れであり、心の姿、だと私は思っています。


心の格差社会


雨の中、図書館に本を返却に行きました。
入り口の傘立てに置いた私の傘が見当たりません。
なくなっていました。
図書館の職員さんが置き傘を貸してくれたので、雨に濡れることなく帰ることができました。
助かりました。
10年ほど前、コンビニでも傘がなくなったことがありました。
その時は、“なくなった”ではなく、“盗られた”と思いました。
そして、傘をとったヤツのことを想像して、めちゃくちゃ腹を立てました。
今回も誰かに盗られたのかもしれません。
しかし、現実に私の目の前で起こった事実は、“私の傘がなくなった”ということです。
現実を捉えて考えると、感情が高ぶることもありません。
誰かが私の傘を差して帰ったとしましょう。(間違って持ち帰った可能性もありますが)
私の傘は、大事に使ってくれるだろうか?
人の傘を勝手に持ち去る人に、あまり期待はできません。
そう思うと、傘に対しても、持ち去った人に対しても、悲しい気持ちになります。
傘の持ち主が困る。想像もつかないのでしょうか?
そう考えると、ほんと悲しくなります。
これはほんの一例で、心の貧しい人が確実に増えていると感じます。
難解な方程式を解ける明晰さより、人の心を察することができる心を持つこと。
私たちが一生を通して学び続けなければならない大切なことは、後者です。
以前の私は、自分が疲れていると、電車でお年寄りに座席を譲るのを躊躇する、
そんな人間でした。
今は、自然に席を譲ることができるようになりました。
ある日、駐輪場に止めていた自転車を出すのに四苦八苦していたら、
近くにいた大学生が手伝ってくれました。
ちょっとした心遣いが、私にはとてもうれしく心に響きました。
自分が相手の立場で行動するようになると、相手が自分のためにしてくれることを
受け止める心が生まれます。
精神の格差は、年齢でも、学歴でも、収入でも、測れません。
肉体的には大人なのに、精神的には子どものままだという人が増えたのは、
     家庭でも学校でも社会でも 「与える機会を与えられなかった」 からである。           
                
               引用 : 『「受ける」より「与える」ほうが幸いである』 曽野綾子 著  
誰かから何かをもらう、何かを与えられる、それが当然だ、というのが現代の風潮です。
与えることの大切さを、与えることの豊かさを ― 心の豊かさを、誰もが理解し、
実践する世の中を創っていくことが、現代を生きる私たちの使命のひとつなのではないかと思います。
むずかしく考えなくても、自分のまわりで、自分のできることから始めればよいだけです。
あなたの心が感じたことから始める、そうするだけでよいのでは?
きっと何かが動き出します。


感性を磨く  ~ 夜と霧


よりよい人間関係をつくるのために、大切なのは何でしょう?
そのひとつとして、感じる力、感性を磨くことが大切だと私は思います。
「感性を活かす」 これは、どんな仕事にも当てはまることでしょう。
直接、お客さまと接する仕事では、相手の要望を素早くキャッチすることが大切です。
製造業なら、こういうふうに、こんな人に使ってもらいたいと先をイメージすることも大切です。
周りのことに好奇心を持つこと、自分の趣味を持つことをおすすめします。
それも仕事とは関係のないことのほうが世界が広がります。
業界の知識を得ることも必要ですが、それ以外のことに興味を広げると、
仕事のヒントやあなた自身の人生に役立つことがたくさんあることに気づきます。
好奇心は、感じる力を磨きます。
感性を磨くために、
ビジネス本やハウツー本以外の小説などを読む。
音楽を聴く。映画を観る。美術鑑賞をする。 
感じる力を体験から得るために、
通ったことのない道を歩いてみる。
ひとり旅をする。散歩をする。自然に触れる。絵を描く。
他にも、あなたの、あなたならでは、という感性が豊かに磨かれるものがあるでしょう。
ただ、「あー、よかった」で終わらせてしまっては、ものすごくもったいない。
そこから一歩踏み込んで、何を感じたか味わってみることが大切です。
はじめは、うまくいかないかもしれませんが、続けていくうちに、いろんなことを感じる力が養われていきます。
本当に必要なことを感じ取る力がついてきます。
その感じ取る力は、あなたの内面を豊かにします。
内面の豊かな人、感性の豊かな人は、人の気持ちをくみ取ることができます。
相手の内面に、自分も同じものを持っている、ということを感じ取れるからです。
よりよい人と人との関係は、“相手の中に、自分を見る”ことであり、
つながりを感じることだと思います。
最近読んだ本の中で、心で感じることの大切さを教えてくれた一冊を紹介します。
夜と霧 新版』 ヴィクトール・E・フランクル著
ナチス強制収容所での心理学者自身の体験を、精神分析の視点から書いた本です。
私は、ある本の中で紹介されていて、初めてこの本を知り、興味を持ち、新訳のほうで読んでみました。
戦後のロングセラーで有名な本だそうです。
新版の旧訳も、旧版の旧訳も、読みたいと思うほどの本です。
極限状態での人間の感覚や感情は、私たちの中にもあり、眠っています。
その感覚や感情を、平常でも感じ取る手がかりになるのではないでしょうか。


大切なことは至ってシンプル


前回に引き続き、イートイン・スタイルのベーカリーショップで思ったことです。
(このお店は1回行くだけで、いろんなことを目撃します)
一人のおばさんが入り口から入ってくるなり、まっすぐお店(カフェ)の奥へと向かって進んで行きました。
座ってコーヒーを飲んでいる私の前を横切るおばさんの姿を見て私は、
「パン買ってないよね。トイレを借りに来たのかな?」と思いました。
予想外でした。
奥にあるトレーの返却棚の前で止まると、食べ終わって返却されたトレーを順にチェックしています。
あっ、何かをポケットに入れました!
たぶん、使ってない砂糖やコーヒー・フレッシュ、もしくは今キャンペーン中のクーポン券。
返却棚のトレーを一通りチェックすると、サーッと立ち去りました。
食べ残しのパンじゃなくて、ホッとしました。
しかし、凄すぎるぞ、この行動。
トレーの返却棚にあるものなので、お客は所有権を放棄していますが・・・。
何も買わずに奥へ入って行くおばさんを、お店のスタッフが制止しにもかかわらず進入したのであれば、
不法侵入?になりそうですが、一瞬の出来事です。
こんなあきれ果てた行動をする変なおばさんがいます!
と言いたいのではありません。
このような行動を誘発する根本的な原因は何か?
ということです。
トレーを溜めるから。   至ってシンプルです。
たいていのお店のトレー返却棚は、そのままスタッフ側からもピックアップできるようになっています。
しかし、このお店の返却棚は、スタッフが一度、外(ホール)に出ないとピックアップできないのです。
構造に問題があるなら、返却トレーが溜まらないように、スタッフがこまめに片付ければよいことです。
ほんの些細なことだけれども大切なことができていないお店は、
お店にとってマイナスイメージを与える、お客でない人をも呼び込んでしまいます。
ほんと、シンプルなことです。


お客さまは何を求めているか? 求めるサービス・レベルは違っても、顧客は去っていく


イート・イン・スタイルのベーカーリーショップが最近増えたように感じます。
「最近、このお店で買ってないよね。久しぶりに買ってみようか」
パンを買って、時間があったので、併設のイート・インのカフェでひと休み。
コーヒーを飲みながら、店内の様子を何気なく見ていました。
奥の厨房から、ひとりのスタッフが出てきました。パンを作っているスタッフです。
お店に置いてあるお客さま用の新聞を手に取ると、また奥へ引っ込んでいきました。
おそらく、休憩時間でしょう。
また、別の厨房スタッフが出てきました。
今度は、客席からよく見えるコーヒー・マシーンで、コーヒーを1杯入れると奥へと戻って行きました。
ああ、今から、厨房スタッフの休憩時間なんだ。
私、お金払って、同じコーヒー飲んでますが・・・。
私が、このお店でパンを買わなくなった理由を思い出しました。
こういうことなんです。少しだけ気分を害するのです。
お客としての私は、このお店に何を求めているか?
はっきり言って、パンを買う、コーヒーを飲む、それ以上のものは求めません。
一流ホテルのようなサービスを求めていません。
スタッフがお客さまの新聞を読もうが、売り物のコーヒーを飲もうが、わざわざクレームを言うほどのことではありません。
自分の大切なエネルギーを使ってまでクレームを言う気なんて、まったくありません。
そこまで、求めていないからです。
常識ある人は、クレームを言うのに、エネルギーを使います。
「何を求めるか?」=「対価」+「エネルギー」
こういう捉え方も考えられます。
しかし、軽く気には障ります。
ベーカリーはここだけではなく、星の数ほどあります。
私は困らないので、このお店で買わなくなるだけです。
よほど美味しいパンでない限り。このお店でしか手に入らない商品でない限り。
そして、私のようなお客さまは、何も言わず、去っていきます。
高いサービス・レベルを求めていなくても、気分を害してまで利用しません。
(私の場合、忘れてしまっていて、また買ってしまいましたが。)
もし、私がベーカリーの経営者だとしたら?
厨房スタッフには、「パンを作ること以外にもあなたの役割がある」という自覚を持たせるでしょう。
目の前の仕事だけが自分の仕事でなく、どんな仕事にも流れがあります。
その流れを理解していれば、自ずと気づくでしょう。
気づかなければ、言います。
自分の仕事を、今以上に価値あるもので、楽しくする方法はいくらでもあります。
どうせ働くのだったら、いきいき働くほうがいいじゃないですか!
スタッフが、いきいきと笑顔で働ける環境をつくる。経営者の役割でもあります。


転職・就職に活かすコーチング


先日、クライアントさんから転職が決まった報告を受けました。
心から「おめでとうございます」と言える瞬間です。
クライアントさん自身で、選んだ道だからです。
転職を考える目的も、人それぞれに違います。
キャリアアップのため。
仕事で自分らしさを表現したい。
より自分を磨くため。
働く意義を見つめ直したい。
コーチングを受け始める時、
「転職する・しない」
この二つしか選択肢を持っていない人が案外多いのです。
コーチングでは、さまざまな視点から自分の価値や仕事についてなど、
本当に何がしたいのか、本当の自分は何を求めているのか明確にし、
自分にOKを出して決めます。
なので、二者択一で決めてしまうより、力強い選択ができます。
自己認識の深さが、最善の選択、本物の人生の選択へと導きます。
コーチングを通して、転職という選択をしない場合もあります。
転職したい理由をしっかりと見ていくからです。
たとえば、仕事は好きだけれど、職場の人間関係に問題があったりします。
一人で考えていると、そういう部分が見えず、転職しかないと思い込みがちです。
私がいつも思うのは、
辞めるのはいつでも辞められる。
急いで辞める必要もない。


人から学ぶ


ホテルで働いていた頃のことです。
当時、役員をされていた方が、一冊の本を片手にやって来られ、
「この本、なかなかおもしろかったわ。はまちゃん、読んでみる?」
とお借りした本が『男たちへ』という塩野七生のエッセイでした。
役員さんに貸していただいた本をきっかけに、塩野七生の表現力・分析力の面白さに魅せられて、
今も塩野七生の大作 『ローマ人の物語』 シリーズを読んでいます。
この役員さんは、他にも、私の興味のある内容の本や視点を変えるような本をよく貸してくださいました。
その時は気づきませんでしたが、私のことをよく見てくれていたのだと思います。
私だけでなく、他の社員の特性も見て、いろんな形のかかわり方をしていたのだと思います。
また、お客さまから本を頂くこともありました。
よくご宿泊されるのお客さま(RG)に、
「新幹線の中で読んでしまったから、どうぞ」
山本七平の『人生について』というタイトルの本でした。
お客さまの読んでいる本から、どんな作家が好みなのか、今どんなことに興味をお持ちなのか、
接客すること以外で、お客さまのことを知ることができます。
そのお客さまとの会話の幅が広がるのはもちろん、頂いた本を通して、お客さまの内面や感情の
一部に触れ、お客さまをもっと近くに感じることができるようになりました。
役員やお客さまから薦められた本を読むことで、本の内容から学ぶだけでなく、
その人(役員やお客さま)からより多くのことを学びます。
それは、人の特質を見る力だったり、人との関係の深め方だったり、考え方の境界線をはずす
きっかけになったりします。
“本から学ぶ”というより、本を通して“人から学ぶ”ということを、ホテルでさまざまな人との
かかわりの中で働くことで得ることができました。
そして、今の自分がここにいます。
これからも、人とのかかわりを大切に、人から学んでいきたいと思います。


コーチングのテーマ ~ お金(経済)について ~


コーチングでは、『お金(経済)について』がテーマになることがあります。
お金は、その人の価値、ものの捉え方、考え方、人との関係、家族とのつながりなど、
さまざまな要素が絡み合っています。
その絡み合った要素を解きほぐし、その内にあるものがだんだんと現れてきます。
クリアになってくると、自然と、自分自身に向き合うことになります。
決して、お金と向き合うのではないのです。
そこがコーチングのダイナミズムだ!と私は感じています。
自分自身と向き合う。
向き合い方は人それぞれです。
共通して言えることは、“さらに深く自分自身を知る”ということです。
今まで知らなかった自分自身を知ることは、新しいエネルギーを生み出します。
その新しく生み出されたエネルギーは、その人の人生に沿った行動へと変化します。
新しいエネルギーに満ちた瞬間、新しい自分がいます。
この感覚、文章でうまく伝えられないものなのだ、と書きながら気づきました。


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