食べることと出すこと


最近読んだ本を紹介します。

医学書院のケアをひらくシリーズの一冊
『食べることと出すこと』頭木弘樹 著

難病・潰瘍性大腸炎の患者の闘病記です。
潰瘍性大腸炎は、安倍元首相の辞任の際クローズアップされたので
記憶にある方もいらっしゃると思います。

食べて出すことがうまくできなくなってしまったら
どういうことになるのか?という自分ではコントロールできないものによって
起きてくる事象や心理について書かれています。
著者の感性の豊かさを感じるユーモアにもどんどん引き込まれていきます。

ユーモアのある箇所以外ですが、一部引用します。

相手のことを詳しく知れば、異常に見えたことにも納得がいき、
変な人に思えたのがそうではないことがわかったりする。
もちろん、ひとりひとりのことをそんなに詳しく知ることはできない。
でもだからこそ「何か事情があるのかもしれない」
「本当はそういう人ではないかもしれない」という保留付きで人を見たいものだと思う。
そのわずかなためらいがあるだけでも大変なちがいなのだ。

「わずかなためらい」とは心の余裕であり、人への優しさのように感じます。
「ためらい」の捉え方が少し変わり広かった気がします。

病室というのは医師と看護師と患者の三者ともが
「感情労働(感情のコントロールをしなければならない労働)」に携わっている不思議な空間だ。

入院生活を何度も体験している著者の視点は、
一般の人はもちろん、医療従事者にも参考になると思います。

いろんな人に読んでいただきたいと思える良書です。

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