人から学ぶ


ホテルで働いていた頃のことです。
当時、役員をされていた方が、一冊の本を片手にやって来られ、
「この本、なかなかおもしろかったわ。はまちゃん、読んでみる?」
とお借りした本が『男たちへ』という塩野七生のエッセイでした。
役員さんに貸していただいた本をきっかけに、塩野七生の表現力・分析力の面白さに魅せられて、
今も塩野七生の大作 『ローマ人の物語』 シリーズを読んでいます。
この役員さんは、他にも、私の興味のある内容の本や視点を変えるような本をよく貸してくださいました。
その時は気づきませんでしたが、私のことをよく見てくれていたのだと思います。
私だけでなく、他の社員の特性も見て、いろんな形のかかわり方をしていたのだと思います。
また、お客さまから本を頂くこともありました。
よくご宿泊されるのお客さま(RG)に、
「新幹線の中で読んでしまったから、どうぞ」
山本七平の『人生について』というタイトルの本でした。
お客さまの読んでいる本から、どんな作家が好みなのか、今どんなことに興味をお持ちなのか、
接客すること以外で、お客さまのことを知ることができます。
そのお客さまとの会話の幅が広がるのはもちろん、頂いた本を通して、お客さまの内面や感情の
一部に触れ、お客さまをもっと近くに感じることができるようになりました。
役員やお客さまから薦められた本を読むことで、本の内容から学ぶだけでなく、
その人(役員やお客さま)からより多くのことを学びます。
それは、人の特質を見る力だったり、人との関係の深め方だったり、考え方の境界線をはずす
きっかけになったりします。
“本から学ぶ”というより、本を通して“人から学ぶ”ということを、ホテルでさまざまな人との
かかわりの中で働くことで得ることができました。
そして、今の自分がここにいます。
これからも、人とのかかわりを大切に、人から学んでいきたいと思います。

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