学びコラム
見えるもの・見えないもの
世の中をよく見ていると
見えるものよりも、見えないもののほうが多いと気づきます。
人の姿かたちは見えても、その人の気持ちや考え、無数の経験などは見えません。
紛争の映像を目にしても、そこで暮らす人々の本当の日常は見えません。
圧倒的に見えないもののほうが多いのです。
見えないもの。
そういうところに、大事なものがあるのだと思います。
サン=テグジュペリの『星の王子さま』にもこうあります。
‟ 大切なことはいつだって目に見えないものさ ”
長年人の話を聴き続け、人とかかわり続けてきて
分かったことがあるとすれば、それは
実際のところ「人のことは分からない」ということです。
人のことは分からないと言い切ってしまうと
投げやりに聞こえるかもしれませんが、そういうことではありません。
人のことは分からない。
だから、その人のことを何でも分かっていると思わないこと。
もっと言うと「分かったつもりになってはいけない」ということです。
分かっていると思った途端、その人のことが見えなくなります。
分かったつもりになっていると、その人の中にある大事なものから遠ざかってしまいます。
目に見える人や物、出来事から、見えないものをどう見ようとしていくか。
それが、人に与えられている能力なのだと思います。
それに、宇宙の96%は見えなくて、見えているのはわずか4%だそうです。
宇宙は分からないことばかりです。
そんな宇宙で生きているんだと認めてしまうと
よい塩梅に心身がほぐれて、世の中を見渡せるのではないでしょうか?
見えるものよりも、見えないもののほうが多い。
見えないものの中にこそ、大事なものがある。
見えているものだけにとらわれないための考え方を
ひとつ持っておく1年にしませんか?
内側も大掃除
年末に大掃除をするように、私たちの内側も大掃除して
新しい年を迎えたいものです。
そこでふと思い出したのが、
スリランカ上座仏教長老 アルボムッレ・スマナサーラ著
『こころを清らかにする言葉』のなかの言葉です。
…………………
自分のことを不完全だと心から思っている人には
精神的な悩みがありません。
…………………
私たちはどうしても
「きちんとやらなければ」
「仕事も家事もちゃんとしなければ」
「間違ってはいけない」
「人からよく思われたい」
「完璧にしたい」
など「完全」でありたい気持ちを大なり小なり持っています。
しかし、ちょっと考えてみると分かることですが
完璧な人って存在しますか? どこにいます?
そんな人はどこを探してもいません。
どんな偉業を成し遂げた人でも、完璧な人ではありません。
誰もがデコボコしています。
アルボムッレ・スマナサーラ長老はこうも言っています。
…………………
呼吸ひとつ、食事ひとつとっても、人は死ぬまで地球に依存しています。
…………………
地球という大きなところから見ても、人は不完全です。相互依存の関係です。
人の営みから見ても、誰かがしてくれている仕事のおかげで
快適に生活できています。
また自分がする仕事によって、誰かの何かがよくなっています。
互いに補い合う相互依存の関係です。
互いに不完全でよいという目で世界を見ることができる。
弱い自分や不完全な自分を認めて肯定できる。
このように、いま心から思えなくても、このように思うことも選べるんだと
いうことを心に留め置く…それだけでも少し心が軽くなりますよ。
自分のことを不完全だと思うのは、自分をダメだと思うことではありません。
ありのままの自分でいいんだと思えるということです。
すると、これは悩んでも、これは悩むほどのことでもないと思えてきます。
そして、悩みが悩みでなくなるというところに行き着きます。
大掃除、まずは玄関を掃き清めたくらいでしょうか?笑
ペイル・ブルー・ドット
『ペイル・ブルー・ドット(Pale Blue Dot)』
NASAの無人宇宙探査機ボイジャー1号が
1990年に60億キロメートル離れた宇宙空間から撮影した地球を表現した言葉です。
写真の地球は、針の先ほどの「淡く青い点(Pale Blue Dot)」です。
興味があれば、検索してみてくださいね。
私は時折ボイジャーが撮影したこのペイル・ドット・ブルーの地球を思い浮かべます。
広大な宇宙の小さなひとつの星に生まれたひとつのいのちがここにあるのだなと、
あるのは「いのち」であり、「自分」があるという感覚が薄れてきます。
想像の及ばないほど広大な空間の中に存在していることのすごさに気づくと
日常の些末な出来事や悩み、心配事も、これは本当に悩む必要のあること
なんだろうか?本当に心配すべきことなんだろうか?
…どうってことはないように思えてきます。
何とかなる、何とでもなると思えてくるから不思議です。
圧倒的な大自然を目の前にしたときのように、自分の悩みをちっぽけなものに感じ、
悩みが悩みではなくなるのとよく似た感覚です。
そこまで思えないとしても「ペイル・ブルー・ドット」を思い浮かべると
気持ちが落ち着いてリラックスできます。
夜眠るとき目を閉じて思い浮かべるとぐっすり眠れますよ。
二人三脚
仕事で一人前になるまでは
自分の未熟さを痛感しました。
未熟さに奮い立ちました。
未熟さに落ち込みました。
未熟さを向上心に変えました。
一人前の仕事ができるようになると
自分の未熟さに鈍感になります。
未熟さにフタをします。
自分の未熟さを他人のせいにします。
未熟さを無力に置き換えます。
人生はどこまで行っても、未熟な自分と二人三脚。
なぜ、いつまでもどこまでも未熟な自分と二人三脚なのだろう?
「未熟」はまだまだ成長の余地があるというサイン。可能性のサイン。
そう捉えると、未熟な自分との二人三脚も歩きがいがありますね。
うなずきは何のサイン?
親も高齢になり、病院を受診する際、付き添うことがあります。
入院や手術の説明のときは、一緒に説明を聞いてほしいと
親からのリクエストもあり付き添います。
(一緒に聞くほうが親も私もお互いに安心です)
医師の説明を聞いているとき、父はうなずきながら聞いています。
頷いていたから理解しているのかなと後で聞いてみると
きちんと理解していないということがよくあります。
理解できない可能性があると父もわかっているから
一緒に話を聞いてほしいということなのですが。
父だけの話ではなく、人の話をうなずきながら聞くのは、
「話を聞いてますよ」というサインではあるけれど、
「理解しましたよ」というサインではないということです。
仕事でも、伝えたのに、伝わっていなかった。
説明したのに、その通りにしてくれていなかった。
教えたのに、できない。
このようなことはよくあります。
「伝えた」は、相手に「伝わった」ではない。
「説明した」は、相手が「理解した」ではない。
「教えた」は、相手が「できる」ではない。
このことを頭の片隅に置いておくと、
まずは、心のワンクッションになってくれます。
そのワンクッションによって、少し余裕が生まれると、
今以上に、相手をよく見て、相手に意識を向けて、
自分のかかわり方やコミュニケーションの工夫できる部分を
見出すことができるのではないでしょうか。
お互いに理解しあっている未来を見ませんか?
犬と人間のコミュニケーション
私は動物が好きです。
なかでも犬が大好きです。
「犬の言っていることがわかる気がする」
私はこう思っていました。
このことをAさんに話すと
Aさん 「犬が人間を理解してるんや」
私 「???」
理解できていない私に、Aさんは
「人間が犬の言っていることわかるんちゃうで。
犬が人間の言っていることをわかってるんやで。
犬は人間の動作とか言葉を理解しようと、全身でジーッと観察してる。
人間が何をしてほしいのか、何を言ってるのか、犬は雰囲気から察する」
Aさんのとらえ方を聞いて目が覚めた気がしました。
私が犬のことを理解しているのではなくて、犬が私をわかろうとしてくれている。
歩み寄ってくれているからこそ、わかった気になっていたのだと気づきました。
両親も実家で飼っていた犬のことをよくこう言っていました。
「この子は言ってることちゃんとわかってるで。賢いよ」
Aさんの「犬が人間を理解している」
明らかに犬のほうが私たちを理解しようと努力してくれています。
犬が全身で理解しようと私たちを観察してくれている。
犬の人間に対する理解しよう度のほうが、私の犬に対するものより断然高いです。
私が大阪の天保山だとすると、犬は富士山くらいの高低差を感じてクラクラします。
犬のほうが大半をがんばってくれているわけです。
犬のほうがコミュニケーションを取って、お互いが理解しあえるようにかかわってくれます。
「犬が人間を理解している」の代表格、デコピンと大谷選手の始球式は素敵でしたね。
人と人でも同じことが言えるのではないでしょうか。
自分のことを理解してくれていると感じる相手は
理解しようとよく見てくれている。
理解しようとよく聴いてくれている。
理解しようと言葉をかけてくれている。
そのことに気づいていないだけかもしれません。
良好な関係、信頼関係を築くヒントを犬は与えてくれています。
ストレスマネジメント・セミナー【参加者の感想】
コロナの影響でここ数年の主催セミナーはオンラインで行っていましたが、
7月27日(土)久しぶりに対面で実施しました。
テーマは、メンタルヘルスを良好に保つ『ストレスマネジメント』でした。
以前、オンラインのセミナーに参加くださっていた方々にも
今回対面でお会いすることができ、皆さんの思いや考えを肌で感じることができ、
有意義な時間となりました。
参加の皆さまの感想をご紹介します。
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1) セミナーを通じて、気づいたこと、印象に残ったことは何ですか?
2) 今日の気づきや学びを、どのように活かしたいと思いますか?
3) その他、感想や気づいた点、ご要望など
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1) 考え方・思考を変えることが重要であること。自分の考えにあらためて気づけたこと。ストレスが「ゲストハウス」という捉え方をすることで、心が少しでも軽くなることを学びました
2) 人の立場になってと相手には言うが、常に意識していこうと思いました。
あらためて呼吸法が大切であることを学び、今日から取り入れて、また来週からがんばろうと思いました
3) 対面でのセミナーで直接話をすることで、気持ちや考え方が伝わりやすかったです
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1) 「ストレスマネジメント⇒相手を気遣うこと」という考え方は今までしたことがなかった。今回のセミナーに参加して新たに学ぶことができました
2) サイコロ思考を日常でも活用していきたいと思います。思考を柔軟にすることで、新たに気づくことがたくさんあったので、日々の生活にも活かしポジティブに過ごしたいと思います
3) 初めての対面でのセミナーでしたが、とても楽しくあっという間に時間が過ぎてしまいました。参加されている方と色々話せて勉強になりました。ありがとうございました。また機会があれば参加させて頂きたいと思います
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1) ストレスマネジメントするには、自分に意識を向けるより、誰かに喜んでもらえるようにしたほうがメンタルを良好にできるのでは、というお話が印象的でした
2) 自分に意識を向けてしまいすぎないよう思考を柔軟にしていきたいと思います3) 久しぶりのリアルセミナーで参加者の雰囲気も感じながら受講でき、話題も広がりよい流れを感じました。オンラインではつかみづらいところも対面であれば感じもつかめてとてもよかったです
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1) 自分の意識が自分に向いており、他者への意識が低いことに気づきました。考えを書き出すことで自分がどう感じているか改めて考えることができました。また、話すことで自分では気づけなかった傾向を知ることができたと思います
2) まだ未熟で自分のことで精一杯になる場面が多いですが、その場面こそ患者さんなど他の人に対して意識を向けていくことを実践していきたいです。以前、患者さんへの関心が低いと指摘されたのですが、なぜ患者さんに意識が向かないのか少し理解できたと思います
3) 本日は素敵な話を聞かせて頂きありがとうございます。最初は緊張していたのですが、話しやすく、自身を考える良い機会になったと思います。ありがとうございました
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セミナー終了後のお茶会の時間もとても楽しかったです。
猛暑のなか、ご参加いただきありがとうございました。
何を求められているのか
仕事でもプライベートでも、日々さまざまな状況に遭遇します。
状況によっては、「どうしよう」「どうしたらいい?」と
自分に問いかけるときがあると思います。
特に、初めてのことや、経験の少ない状況のときは
そうではないでしょうか。
そんなとき、私は自分への問いかけを変えるようにしています。
「今この状況で、何を求められているのか?」
と自分に問います。
「どうしたらいい?」と問いかけると意識(目線)が自分に向いてしまって
状況をよく見る精度・把握する精度が落ちます。
しかし、「今この状況で、何を求められているのか?」と問いかけると
起きている事や状況、他者に意識(目線)が向いて、よく見て考えることができます。
「今この状況で、何を求められているのか?」という問いかけは
自分以外の「誰か」や「何か」のためになることに意識が向くからです。
ずっと持ち続けている悩みがあるのなら
「今この状況で、何を求められているのか?」と自問しましょう。
悩みや苦しみは、たいてい「自分」を向いたときに生じますから。
どんな種を植えますか?
あなたはどんな出来事に目を向ける傾向がありますか?
ポジティブな出来事ですか。
ネガティブな出来事ですか。
出来事をどのように受けとめる傾向がありますか?
ポジティブに受けとめる傾向がありますか。
ネガティブに受けとめる傾向がありますか。
あなたは、自分の「心」という畑に
どんな種を植える傾向があるでしょうか?
ポジティブな種を植えると、ポジティブな花が咲きます。
ネガティブな種を植えると、ネガティブな花が咲きます。
ひまわりの種を植えると、ひまわりの花が咲きますが
ひまわりの種から、決してアサガオの花は咲きません。
同じように、ネガティブな種からポジティブな花は咲かないのです。
ネガティブとポジティブ、この他にも
あなたの心の花畑にどんな花を咲かせたいのでしょう?
まずは、あなたの花畑がどんな状態かを確認するところから始めましょうか。
【主催セミナーのご案内】ストレスマネジメント・セミナー
7月に対面でのセミナーを開催します。
~メンタルヘルスを良好に保つための~
●●ストレスマネジメント・セミナー●●
「ストレス」という言葉が日常に溶け込んで当たり前のように使われるようになりました。
それほど、私たちは当たり前に無自覚にストレスフルな毎日を過ごしているとも言えます。
最近は、ストレス耐性のある人もメンタル不調になっているのが
気になるところでもあります。
メンタルの不調は誰にでも起こり得ることで、決して他人事ではないということです。
ストレス耐性の高い人も低い人も、特に今はメンタルの問題を抱えていない人も
日頃からストレスと上手につきあって、メンタルヘルス(健康な心の状態)を保つことが大切です。
今回は、「思考・感情・行動」の3つの観点から
ストレスマネジメントについてのヒントや習慣にしやすい対処法などお伝えします。
参加者全員でリラックスして交流しながら進行しますので、お気楽にご参加ください。
お会いするのを楽しみにしております。
<セミナー内容>
○ 感情の性質を知る ・ 感情をコントロールする
○ 抱く思考と感情の捉え方と日頃からの対処法
○ メンタルヘルスとストレスに効果的な行動
○ ストレスや不調を感じている人を支援する方法<日 時>
2024年7月27日(土)13:30~16:30
<会 場> エル・おおさか(大阪府立勤労センター) 会議室(6階602号室)
京阪・地下鉄谷町線「天満橋駅」より西へ300m<定員> 15名様
<参加費> 6,000円(税込)
<お申込み> セミナー予約フォームからお申込みください
※開催日の2日前までにお申し込みください
※満席になり次第、受付を終了いたします
※お申し込み後、メールにて参加費のお振込先をご案内いたします
☆セミナーのチラシPDFはコチラをご覧ください