2006年2月

映画『ホテル・ルワンダ』


またまた映画のこと。
日曜日に、『ホテルルワンダ』を観ました。
『THE有頂天ホテル』のように、“ホテル”と冠がつくから観ておこうかな、
それにテアトル系だけれど話題作だしね。軽い気持ちでした。
が、カテゴリーとしては、映画『ミュンヘン』と同じです。
こちらも民族紛争をテーマにした実話です。
当時、ニュースで見た映像が、映画の中でもありました。
一般の国民(フツ族の民兵)が、一般の国民(ツチ族)を、大きなナイフで、斬りつけて殺す映像です。
100日間で100万人が虐殺されました。
この映画を観て、当時のニュース映像には、こんな背景があったのだと初めて知りました。
ニュースは、一瞬のうちに、次の話題に移っていきます。
残虐な映像だけが残り、どうしてこんなことになったのか、うやむやにしてしまったり、
わからなくても、わからないままにしてしまったり、私自身、クセがついています。
そんなことも考えさせられた映画でした。
前評判が良い映画なので、混雑覚悟で行ってきました。
朝10時からの上映で、当日に整理券が発行されるので、がんばって9時10分頃着きました。
すでに行列ができていました。整理番号48番、これで座れるとホッしました。
その後も続々とやって来て、立ち見の人もたくさんいました。
私の立ち見経験は、中学1年生の時に観た『E.T』のみです。
夢のある映画は、立ち見でもがんばれますが、『ホテル・ルワンダ』は、
腰を据えてじっくり観たい映画です。
DVD 『ホテル・ルワンダ プレミアム・エディション』 


その会話はどこに向かっていますか


フロント勤務の頃の体験談です。
あるスポーツ競技の各国チームの選手達が宿泊していました。
アフリカのある国のチームの女性選手が、フロントへやって来ました。
「この近くで、籠バックを売っている店はある?」
「専門店はこの辺にはないですが、お調べしましょうか?」
「あなたは、籠バック持ってる?」
「持ってます」
「籠バックは好き?」
「好きです」
そして、彼女は笑顔で去って行きました。
よくわからず、質問されるがままに答えた私。一体、何だったんだろう?
しばらくして、さきほどの彼女が現れました。
両手と小脇に、たくさんの籠バッグを抱えて・・・。
彼女の国のチームは、ワールドカップに参加するのは今回が初めてでした。
彼女の国は、おそらく裕福ではありません。
せっかく豊かな国・日本に来たのだから少しでも稼いで帰ろう。
まずは、一番身近で声を掛けられるホテルスタッフからだ!
たくましさを感じました。
日本人が海外旅行に行ったとしても、ほとんどの人が考えも及ばない発想でしょう。
ベルガールさんも私と同じパターンにはまったそうです。
お互いに苦笑いしました。
私のように、聞かれたことにただ反応して答える、まったく受身な会話。
それだけでは、お客さまが何をしたいのか聞き取ることはできません。
常に、お客さまが何をしたいのかを意識して会話する。
すると、質問に答えるだけでなく、質問をして聞き出す(引き出す)ことができます。
今思い出しても、私はお客さまから引き出すよりも、聞かれることに答えることがほとんどでした。
サービスを提供する仕事に就いている人間の会話ではありませんでした。お粗末過ぎます。
この会話はどこに向かっているのか、お客さまはどうしたいのか、“会話の先を読む力”。
そのために、“お客さまと共に会話を作り出す力”。
さまざまな国のお客さまと接する機会が多い職場では、特に高めておきたい能力のひとつです。


ホッキョクグマの皮膚の色


ホッキョクグマの皮膚は黒いのだそうです。
極寒の氷の世界に生きる動物。
真っ白な毛に覆われた下には、黒い肌が存在する。
ホッキョクグマの肌の色が何色か今まで考えたこともありませんでした。
それがどうしたと言われればそれまでですが、私にとっては、ものすごく新鮮で、
知らなかったことを知った子供の時のワクワク感が呼び覚まされました。
経済や政治のことで、知らなかったことを知るのとは、まったくちがう喜びを感じます。
それぞれワクワクすることは違うと思います。
「ホッキョクグマの皮膚は黒い」
なぜだかわかりませんが、私はワクワクします。


アフロサムライ


ネットでニュース速報をチェックしていたら、
“「アフロサムライ」全米TVへ”という見出しを見つけました。
アフロなサムライって何だろ?
武士道ブームと関係あるの?
好奇心からクリックしてみました。
日本で自費出版された漫画で、日本ではほとんど知られていないのですが、
いきなり全米でアニメ放映されるそうです。
サミュエル・L・ジャクソン主演で映画化の話も進んでいるようです。
アフロ犬みたいなかわいいお侍だったらいいな~。
私の期待は、かる~く裏切られました。
そんな期待は見事なまでに吹っ飛ばされるタッチです。
まさにアメリカ人好み。
スーパーマンやバットマン系・・・。
『アフロサムライ』 http://www.afrosamurai.com/


舌をきれいに!グリコ 『BREO ブレオ』


「舌をきれいにするアメ、なめる?」
好奇心から、ひとつ試しにもらって、なめてみました。
舌がツルツルになった感じがしました。
舌をきれいにし、口臭も防ぐ優れもの。
江崎グリコの 『BREO ブレオ』というタブレットです。
携帯にも便利です。
味もミント系で、口の中がスッキリします。
口の中で“掃除機と空気清浄機”が合体したようなものです。
かなり強引なたとえ。。。
ブレオをくれた彼女は、朝からなめて来たとのこと。
ランチは、一緒にカレーを食べました。
普通の辛さのカレーです。
中辛カレーが激辛カレーに変身したの?
というぐらい彼女は咳き込み、苦しんでいました。
とっても辛かったそうです。
はい、見るからに激辛カレーに挑戦した人、そんな感じでした。
舌がきれいになりすぎたのでしょうか。敏感になる人もいるようです。
グリコ 『BREO』   http://www.ezaki-glico.net/breo/index.html


映画『ミュンヘン』


スピルバーグ監督の最新作『ミュンヘン』。
ぐったりとした状態で劇場を後にしました。
1972年のミュンヘン・オリンピックでの史実に基づいたこの映画は、
2時間44分、スクリーンから目をそらすことを許してくれない作品です。
つまらなくってぐったりしたのでなく、精神的に、ぐっさりと、ぐったりときました。
そして、家に帰ると真っ先に、世界地図を広げてしまう、そんな作品です。
イスラエルやパレスチナ問題について、予備知識があるほうが、この映画をもっと理解できるでしょう。
知らなくても、現在の私達を取り巻く世界情勢にどうかかわっているか考えることができます。
ユダヤをはじめ民族間の対立は、長い歴史を経て、その糸を1本1本解きほぐすことができるとは
思えないほど、複雑に絡まってしまっています。
そこに、アメリカという糸が、大義名分のもと、さらに絡まっている現在に、
この映画は、警鐘を鳴らしているように感じました。
以前、同僚だったエジプト人のスタッフに、日本人のスタッフが、
エジプト人とアラブ人を十把一からげにした物言いをした時、
そのエジプト人は、日本人スタッフの胸元をつかんで、ものすごい剣幕で怒りました。
凄まじいものがありました。
その時、民族的なことを決して冗談にしてはいけないと悟りました。
世界には、映画『ミュンヘン』のように、報復につぐ報復、終わりのない報復が、
延々と続いている国々もあるのです。
この映画は観ているうちに、主人公の感情を否応なしに味わってしまいます。
赤みを抜いたカラー映像のシーンでは、白昼夢を見ているかのような錯覚に襲われました。
夢であってほしいと思うほど、出口のない現実がそこにあります。
テロや戦争の映像を、毎日のようにニュースで見聞きします。
私達日本人も望む望まないに関係なく、この複雑に絡んだ糸のどこかに絡まっている、
そんな気がしてなりません。
今の私にできること・・・テロや戦争を、テレビのBGMのように扱わない。
少し意識してみようと思います。
映画『ミュンヘン』公式サイト http://munich.jp/


ハウルの動く城


DVDでやっと観ました『ハウルの動く城』。
劇場公開されている時は、なぜか興味がありませんでした。
キムタクがハウルの吹き替えと聞いても、ふ~ん、その程度の反応でした。
スタジオジブリ作品では『ホーホケキョ となりの山田くん』でさえ、映画館に足を運んだ私なのに、
ハウルをどうして観に行かなかったのか、今さらながらに不思議です。
お城の中での食事シーン。
チーズを見た瞬間、『アルプスの少女ハイジ』のチーズだ!うれしくなりました。
一気に童心に返りました。
宮崎作品は、いくつになっても楽しめますし、愛や勇気、平和など、
さまざまなメッセージを発信してくれています。
若くても狭い世界に自分を閉じ込めていたソフィー。
90歳の老婆の姿に変えられ、狭い世界から自分を解放し自由になり、
いきいきと行動する姿に、こんな言葉が重なりました。
「80歳を過ぎたら、もっといろんなものが見えてくる。」
荒地の魔女役の美輪明宏が、あるテレビ番組で言っていた言葉です。
90歳のソフィーの言動や美輪さんの言葉に、年をとることが楽しみになってきました。
80歳の私~好奇心を持って想像します。
80歳の私には、どんな世界がみえるのだろう、と。


『地球(ガイア)をつつむ風のように』


ドキュメンタリー映画『地球交響曲』の龍村仁監督のエッセイ集
『地球(ガイア)をつつむ風のように』を読みました。
『地球交響曲』を観に行ったという話を知り合いにしたところ、この本を貸してくれました。
地球交響曲ファンは、けっこう多いのだなと実感しました。
この本には、カムチャツカでひぐまに襲われて亡くなった写真家・星野道夫氏への、
龍村監督のあふれんばかりのおもいが込められています。
星野氏は、第3番に出演予定で、撮影直前に亡くなりました。
ふたりは、今も深いところでつながっているのが伝わってきました。
私達は、“自分”という人生の持ち主であり、さらに“ガイア理論”でいうと、
“地球”という大きな生命体の営みの一環でもあります。
自分にとっては、どんなささいなことも、自分のすべてのように受け止めてしまい、
苦しくなる時があるものです。
そんな時、今、自分に起こっていることを、地球規模で、俯瞰(ふかん)で捉えてみると、
きっと別のものが見えてくる。
おおげさかもしれませんが、そういうメッセージを私は受け取りました。
また、この映画の出演者は皆、目立とうとする派手さはなく、自分の信じる道を、
地球とともに、穏やかに生きています。
実にシンプルです。
『地球交響曲』第1番から5番のDVDが発売される予定です。
多くの人に見てもらいたい作品です。


その瞬間瞬間、最良の判断をする


映画『THE有頂天ホテル』のワン・シーン。
レストランで仲良く男女が食事をしています。
男性が、“灰皿”を“取り皿”と勘違いし、女性に料理を取り分けている・・・。
ご当人達は、いっこうに気づく様子はありません。
そこで、役所広司演じる副支配人は、他のテーブルの灰皿をすべて回収し、
全く雰囲気の違う会議室の灰皿に替えるよう指示します。
お客さまに恥じをかかせない、嫌な思いをさせない、心に視点を置いた判断をします。
このワン・シーンは、映画用にデフォルメされているわけでないと思います。
ホテルは、有り得そうもないことが、本当に起こってしまう空間です。
ホテルマンは、常に、その場その場で、最良の判断をしなくてはなりません。
“機械”でなく、対“人間”。
“ロジカル”で動く仕事じゃなく、“心”で動く仕事。
“知識”よりも“知恵”が必要です。
“心”だから、解決策はひとつではありません。
お客さまの数だけ、ホテルマンの数だけ、あります。
いくつも答えがあるからこそ、最良の判断をしなくてはいけない。
むずかしいですね。
この映画のワン・シーンのように、今でも鮮明に脳裏に焼き付いている体験が私にもあります。
フロント・ロビーに感じの良いご婦人が立っていて、お連れの女性と談笑しています。
私は、ギョッとしました。何を見て、ギョッとしたのか・・・。
なんと、トイレットペーパーが、ご婦人の足をつたい、ロビーの絨毯にまでダラ~リ垂れています。
見る限りでは、トイレットペーパーは、スカートの中へと続き、どうも下着に巻き込んでいる様子。
どうしてこんなことが??
一瞬、私の頭の中は、パニック状態に陥りました。
まったく気づいていないご本人に、こんな悲しすぎるバッド・ニュースを、どういうふうに伝えたらいいのでしょう?
お客さまと私達スタッフの置かれている状況を冷静に把握し、その時、私にできる最良の判断をしたつもりですが、
それが正しい答えだったかどうかは今もわかりません。
あなたは、どんな最良の判断を心がけていますか?


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