藤田嗣治展



先週、京都国立近代美術館で開催中の
『藤田嗣治展』にふらっと行って来ました。
http://www.momak.go.jp/Japanese/exhibitionArchive/2006/347.html
平日なので人が少ないかと思いきや、たくさんの人が詰めかけていました。
美術館前では、観光バスからぞくぞくと人が降りてきます。
京都観光のコースに入っているようです。 
ラウル・デュフィのことを書いた日記でも以前少し触れた滋賀県の美術館での
『パリ市近代美術館展』にも、藤田の作品は多数出品されていて、
けっこう満足度は高かったのですが、今回は、それとはまた違った良さがありました。
今回は、藤田の作品を時系列で鑑賞することができました。
時代時代で見事なまでに作風が違います。
藤田独特の乳白色の裸婦は有名です。
しかし、私が一番心を揺さぶられた作品は、『アッツ島玉砕』でした。
胸が苦しく締め付けられ、痛みさえ伴うような悲しみや声にならない怒り・・・
私の中に湧き上がってくる感情が溢れ出してしまうのではないかというぐらいでした。
年配の方の反応は、見るのを避ける人、じっくり見て他の作品に移ったけれど、
もう一回見ようと戻る人、さまざまでしたが、共通して言えるのは、
見る者を真剣にさせる作品だということです。
ふざけた気持ちや軽い気持ちで鑑賞できる作品ではないことは確かです。
藤田嗣治の作品の回顧というよりも、藤田嗣治という人物の人生のあり方に触れた、
なかなか巡り合えないタイプの美術展です。
藤田という人は、藤田以外の誰でもなく、自分自身のオリジナリティーを追求して生きた人、
そう感じました。
誰かを真似て描くのではなく、誰かを真似て生きるのではない。
自分の人生は、自分以外の誰のものでもない。
大きな何かを受け取った『藤田嗣治展』でした。

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