リービ英雄 『千々にくだけて』
リービ英雄の大佛次郎賞受賞作 『千々にくだけて (講談社文庫)』
リービ英雄はアメリカ人の日本文学作家。
英語と日本語の狭間で言葉を紡ぎだす人です。
松尾芭蕉の松島の句
「島々や 千々にくだけて 夏の海」
“千々にくだけて”の英語訳
「all those islanls !」
両方の言葉が重なった瞬間、9・11と重なり響き合います。
イメージと感覚の広がり。
私の中の未体験ゾーンの感覚を引き出されたような読後感があります。
日本語と英語の狭間で生きるリービ英雄独特の感性から紡ぎだされた
限りなくノンフィクションに近い小説です。
リービ英雄が紡ぎだす日本語は、日本人より日本人らしくもあり、
日本人の日本語の可能性を広げてくれる役割も果たしているように感じます。
呼吸するように普段意識せず私たちが使っている日本語を再確認し、
そこにまた別の新しい日本語の感覚が呼び覚まされます。
これからも折に触れて読み返したくなるだろう作品です。
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