尊敬する人


先日、電車の中で、大阪のオバチャン達・・・
う~ん、もひとつ上の、大阪のおばあちゃん達が話していました。
おばあちゃん(壱) 「健さんの映画、もうすぐや」
おばあちゃん(弐) 「健さん、81歳やて。 田中好子も出てるんやろ?」
おばあちゃん(参) 「違うわ~。田中・・・ 田中・・・ ・・・」
おばあちゃん(四) 「田中・・・裕子!」
おばあちゃん達の会話には、何度も、「健さん」、「健さん」と出てきました。
どのおばあちゃんも、「健さん」と名前を言うとき、一種の空気が流れます。
優しい空気。
リスペクト(尊敬の念)が漂っているのです。
おばあちゃん達が、こぞって、リスペクトする「健さん」とは、他でもない「高倉健」です。
これほどまでに、同年代、その周辺の年代の方々からリスペクトされている
高倉健の映画に興味がわいてきました。
映画 『あなたへ』 を観に行ってきました。
平日の昼間、劇場は、高齢の方で賑わっていました。
映画館で、こんなにたくさんの高齢者が集まっている場に身を置いたのは初体験です。
女性が多いのかと思っていたら、男性もけっこういらっしゃいました。
これだけの人達を、映画館に向かわせる高倉健、さらに興味津々です。
劇場内を見渡すと、私より若い人は、
おばあちゃんと一緒に観に来た大学生ぐらいの孫らしき女性一人でした。
受付で、映画館のスタンプカードを忘れてきたことをスタッフに伝えると、
「このカードですか?」
とシルバー会員のカードを示されました。
軽くめまい~、軽くショ~ック。
シルバー会員ばかりの受付が続いて、
スタッフが自動的に手にしたカードがシルバーだった、そういうことにしておきます。。。
映画本編は、ひと言で表すと “優しい”映画でした。
俳優・高倉健も、人間・高倉健も、
この映画の主人公のような人なんだろうな、と思いました。
人の心にしまってある部分を少しだけ開き、少しだけ語り、
それを主人公の寡黙さで受け止め、その人が心の澱(おり)を出せ、
状況は変わらなくても、楽になる・・・人生のロードムービーのように感じました。
人の心をひらくのは、
言葉ではなく、この映画の主人公のように、むしろ寡黙さなのかもしれません。
寡黙さが、語りかけてくるもの。
そんな何かがあるような気がしてなりません。
おばあちゃん達が尊敬する人・高倉健。
高倉健のあり方が伝わってくる素敵な映画でした。

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