コーチング研修と組み合わせた個人コーチング(1)


新人看護師を支援・指導する看護師を対象にしたコーチング研修を実施し、その後、その方々に個人コーチングを行いました。コーチング研修と個人コーチングの両方を受けた方々のお声と、そのお声にコーチの視点からも解説します。

✦個人コーチングを受ける前と受けた後での意識や行動の変化について

(Aさん)
個人コーチングを受けたことで、自分が“傾聴”や“承認”をできていないことに気づくことができました。そして、そのことを意識することで、最初はうまくできなかったのですが、少しずつ行動できるようになってくると、「もっと相手のことを知りたい」という気持ちに変わり、相手のことを知ると、良い所は自然と言葉にして伝えられるようになってきました。

 個人コーチングでは、実際にコーチがどのように「傾聴」し「承認」するかを体験できます。その体験は、研修で学んだ「傾聴」や「承認」への理解をさらに深め、実践へのステップ台になります。研修では知識としての理解で終わりがちですが、実際に「知っている」と「できる」は大きく違います。Aさんは、個人コーチングを通して、ご自身の「傾聴」「承認」の現在地に気づき、その気づきがAさんの行動を変え、さらに気持ちの変化につながったと考えられます。
また、個人コーチングによって、自分を知ることで、他者を知ろうとする心の変化と行動の変化をもたらします。

(Bさん)
浜端コーチに自分の考えや思いを伝えることで新たな気づきや課題、目標としているところには何が必要なのかを考える機会になった。そのため、以前までは他の実地指導者に任せていたことも多かったが、自分から(新人に)かかわりに行く回数も増えたと思う。また、自分の考えだけではなく、相手のことを理解しようと思うことで、今まで抱いていた先入観なくかかわることができたと思います。

 自分の考えや思いを安心して話せる安全な環境と関係をBさんとともにコーチはつくっていきます。育まれる関係性のなかで、課題や目標に対して、新たな気づきが生まれ、何が必要なのか未来に向けて自分自身で考えやすくなります。自分で考えることで、「自分からかかわりに行く回数も増えた」という行動変容が起きています。その行動変容は、相手を理解しようとする心の変化につながっています。

(Cさん)
コーチングを受ける前は自分自身の限界はここまでなのか、自身の成長はこれ以上は伸びないのではないか、実習指導、実地指導、救急チームの委員会をしているが、自身の伸びしろに悩んでいた。コーチングを受けた後、受ける前に悩んでいた不安は軽減できた。消極的に捉えていた自分をより良いほうへ考えることで色々な工夫をする点を改めて見つめ直すことができた。それを実際の勤務のなかで実践し行ってみた結果を評価した。

 Cさんのように自分に限界を感じることは誰にでもあります。コーチング中、Cさんは自分のこともまわりのこともあきらめていない人だと感じました。
人は無意識では「成長したい」と思っています。無意識ですので、このことに気づいている人はほとんどいませんが、人は常に成長を望んでいます。よりよく変わりたいと思っていても、そのきっかけがないだけです。きっかけさえあれば、人は変われます。
ただ、きっかけは自分ではつくりにくいものです。変わりたくても自分一人の力では変われないのです。一人ではなく、コーチとともに。コーチは心強い存在です。コーチは、成長のきっかけをつくります。よりよい未来に向けて、よりよく考えるためのきっかけになるコミュニケーションをとります。

(Dさん)
コーチから一日一笑というリクエストを受けて、それを実践することにより、仕事が少し楽しく感じるようになりました。新人さんにも何気ない会話をしたり、接する時間を少しでも取れるように心がけ、以前よりは距離が縮まったのかなと思います。

 前進するためにリクエストをすることもあります。Cさんの笑顔はCさん自身とまわりによい変化をもたらすだろうとリクエストしました。リクエストは、相手の状況やその人に合わせて行います。リクエストに対してどうするかはDさん自身で選んで決めることができるとお伝えしています。常にその人の主体性を尊重してかかわります。

(Eさん)
個人コーチングを受ける前は、新人へ指導するときや普段のかかわりのなかで、どう声をかけたらいいのか分からない部分が多く、理解できているのか把握できなかったり、新人とのあいだに距離があり、相談しやすい関係になれていないと思うことがありました。個人コーチングを受け、指導の際に(新人の)良いところを具体的に伝える、分からないところを答えやすいよう声かけを意識し、ふだんから何気ない会話を増やすように心がけるようにし、以前に比べると新人との会話が増え、距離も近づけたように感じます。

 新人さんとどんな関係なのか「関係性」が、指導や教育に影響します。相手との関係性が、会話の量や距離感に表れます。
また、Eさんのように相手の良いところを具体的に伝えるには、相手をよく見てよく聴くことが大事です。そのために、研修では「傾聴」と「承認」を学びます。日常での「承認」実践のサポートを個人コーチングで行うこともできます。実践の振り返りはコーチング・スキルの定着を促進します。

(Fさん)
今までは人と話をするとき(悩み事、相談話をするとき)、相手の話をしっかり聞こう、何かアドバイスを求められていると思い構えてしまい、途中から意識を自分が向いて、話を聞きながらも頭のなかで色々と考えて、自分自身混乱することが多かったです。結果、相手にアドバイスできたのかな、何か解決できる手助けになったのかなと自分で不安になることが多かったですが、コーチと話しながら自分の傾向に気づき、自分の(相手の)話をきくときの“クセ”を意識することで、変に構えることなく話を聞こうと思えました。まだ意識が相手や自分を行き来することが多く、(意識が)自分に向いている時間が長かったと思うこともありますが、コーチングを受けている図書館の風景を思い出し、相手に意識を向ける、何か言わないといけない、求められていると考えず、まずしっかり相手の話、思いを聞いて(最後まで)一緒に考えていけたらと思い、意識しています。

 Fさんは、自分の傾向に気づき、話を聴くときのクセを意識することで、聴く姿勢を整えています。そして、聴くことを「構造化」しています。構造化とは、仕組みづくりです。
コーチングを受けている図書館の風景を思い出して、最後まで相手の話を聴いて
一緒に考える、という構造(仕組み)をFさん自身で見出しています。人に言われたことをするよりも、自分自身でこうしようと決めたことは無理なく行動に移すことができ、それがいちばんの糧になり、行動変容につながります。

(Gさん)
まずコーチと話をすることで、単純に気持ちが楽になりました。今まで自分では色々と考えて前を向いて進んでいると思っていましたけれど、実際には違ったと…。しっかりと「明るい未来を見る」を考えて行動するようになりました。

 自分の思っていることを言葉にして出すことで、こんなことを考えていたのかと自分の話したことが自分に返ってきます。それによって気持ちが楽になるということが起きます。また、コーチは堅苦しくなく気楽に話してもらえるユーモアや遊び心をもってかかわります。
コーチングは、未来に向かって行う対話です。たとえば、北に進みたいのに北北西に少しずれていると目的の北にはいつまでたっても到着できません。進めば進むほど、大きくズレが生じ、目的への到達が困難になります。それほど、見る方向は重要なのです。Gさんがどこを見て話しているのか?コーチは常に意識してかかわります。

コーチング研修と組み合わせた個人コーチング(2)はこちらをご覧ください

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