学びコラム

待ってみましょう~沈黙する~


サービス業のコミュニケーション・ロールプレイの一場面。
そのロールプレイでは、お客さま役の人が、とっても困っているように私には見えました。
十分な会話がないまま、お役さま役もサービス役も黙ってしまいました。
お客さま役の人は、サービス役の人が何か言ってくれるのを待っている様子。
さらに沈黙は続きます…。
ロールプレイの振り返りで、
サービス役の人は、「“沈黙”を使って、相手の言いたいことを引き出そうと試みました」とのことでした。
「沈黙」は、十分な会話のキャッチボールができて、お互いに話しやすい雰囲気の中、
サービス係が、じっくりとお客さまの話を聞いている状態の時、効果を発揮するコミュニケーション技術です。
お客さまが質問に対して、すぐに答えが出てこず、じっくり考えている。
そこで、どんどん話しかけるのでなく、待つ・・・「沈黙する」が活きてきます。
心地良い沈黙が生まれます。


信号待ちセールス・トーク 「聞いてください!」


グルメ雑誌をパラパラと見ていて、半月以上前の出来事をふと思い出しました。
友人と予約したイタリアンのお店へ向かう途中の出来事です。
横断歩道で信号が赤に変わって私達が立ち止まった瞬間、どこからともなくスーッと、
レストランの店員さんらしき人が現れました。
「ちょっと話を聞いてください!今日来てっていうわけじゃないから」と言われ、
思わず心の中で、はい、聞きましょう、と自動的にその人の話を聞く体勢に。
小さなチラシを渡され、ランチのメニューを前菜から順に、ポイントを説明していきます。
「これだけついて1500円。お店はあのビルの2階!今度でいいから来てください」
と交差点の私達が立っている場所と反対側の角のビルを指差した瞬間、信号が青に変わった!
信号待ちの秒数を計算し、時間内に納めた鮮やかなセールス・トークでした。
若くてカッコイイ店員さんでもなく、笑顔がさわやかでもなく、無愛想に近い(言い過ぎかな)
お兄さんでした。
友人は「予約してなかったら、行ってもよかったけどね」と言っていました。
私も特に決まっていなかったら、ふらふらとそのお店に行ってしまいそうでした。
そこは大通りの交差点で、そのお店のある側よりも私達が歩いている側のほうが、
確かに人通りが多く、お店の下の通りでチラシを配るよりも効果がありそうな感じがしました。
ビルの2階というのもハンディと言えますが、ただ単に、お店の下でチラシを配るのではなく、
人の流れを分析してチラシを配る場所を決め、さらに信号待ちの時間をうまく利用しています。
「お店はあのビルの2階」と指を指して示されると、
聞く側は、交差点のどの位置のビルか視覚的にもしっかり捉えることができます。
それに、今も説明されたメニュー内容を思い出せるのが怖いぐらいです。
「8種類もの前菜、パスタソースは8種類から選べる…」など、
印象に残るように同じ数字を繰り返す手法です。
店名は憶えていませんが、場所とメニューと料金はしっかり残っています。すごい・・・。
コーチングには、相手の話を“聞く”という基本のスキルがあります。
しかし、この出来事で、「聞いてください」と相手にリクエストすることも大切だなと思いました。
信号待ちのたった数十秒間に起きた、いろんな角度から考えさせられる出来事でした。


ホテリエのキャリアアップのチャンス 第1回「近藤マイク誠賞」


世界的に名前を知られた伝説の日本人ホテリエ・近藤マイク誠氏(享年32)。
近藤氏を記念し、ホテル・旅館・レストラン業界の情報を発信しているオータパブリケイションズが、
「近藤マイク誠基金」を創設。
その運営の一環として「近藤マイク誠賞」が設立されました。
賞は、豪州ICHM3ヶ月留学や海外インターンシップが授与されるそうです。
http://www.hotel-ya.com/mmk/index.html
ホテル業界の発展を志すとともに、キャリアアップを考えている方、せっかくのチャンスです。
応募してはいかがでしょうか。
応募するだけでも意義があり、得るものがたくさんあるのではないでしょうか。
ホテルビジネスの将来と、自分自身のキャリア・デザインについてじっくり考える絶好の機会です。
受賞する、しないだけを目標にするのではなく、自分自身が、今何を考え、将来何をしたいのかを
明確にするプロセスを大事にすることで、ひとまわりもふたまわりも確実に成長できるでしょう。
チャレンジする場がある。素晴らしいことです。
こういう機会がもっと増えれば、今以上に、いきいきと輝くホテリエが増えるでしょう。


顧客満足・従業員満足のために、あなた自身がすることは?


あるテレビ番組に、元プロ・テニス・プレーヤーの伊達公子が出演していました。
彼女は、高校卒業後、プロとして海外へ。
海外では、練習のコートを探すのも、練習相手を探すのも、なにもかも自分でしなければならない世界、
それがプロの世界だったと語っていました。
また彼女は「自分自身を大切にすること」が大事だとも言っていました。
おそらく、毎日がプレッシャーとの戦いで、嫌でも自分自身を見つめることになったのでしょう。
テニスは、コーチがサインを出すとこはできません。
相手の選手との戦い、孤独との戦いです。
厳しい勝負の世界だからこそ、自分自身を大切にすることが、勝敗を決めるポイントなのかもしれません。
今も彼女は輝いています。
このことをサービス業に置き換えて考えてみましょう。
顧客に満足していただくためには、従業員の満足が必要です。
顧客満足、従業員満足度の向上は会社任せでよいのでしょうか。
従業員にはまったく関係ないのでしょうか。
皆さん自身がすることは?
「自分自身を大切にすること」だと私は考えます。
自分を大事にしていない人が、他の人(お客さま)を大切にできるでしょうか。
お客さまに満足していただけるサービスを提供できるでしょうか。
こんなことを言っている私自身、ホテルで働いている時、どうだったか?
恥ずかしながら、自分を大切にする、という発想自体持ち合わせていませんでした。
なので、良いサービスをしていたとは言えません。
自分自身のホテル経験からも、このことがどんなに大切か、今、コーチングを通して、
しみじみ実感しています。
コーチングで、自分はどんな考え方をするのか、どんな行動の傾向があるのかなど、
今まで知らなかった自分を知り、自分自身を大切にすることがどんなに重要かということに気づきました。
ホテルで働いていた時に、コーチングを知っていたら、きっと自分のサービスが変わっていただろう、
と悔しい思いをしています。
ホスピタリティに溢れたサービスは、自分を大切にすることから生まれ、顧客満足につながると信じています。


信頼関係を築く「ぺーシング」


先日、病院で検査のため採血しました。
注射針を抜く時、看護師さんが、「パーして、、、パーして!パー!!」
最後の大声で、私に言っているのだと気づきました。
何を言ってるの?私の握りこぶしを見ています。
あっ、そうか!手を開くってことかぁ。(私も鈍い・・・)
その時、思いました。
小さい子供だったら、「パーして」のほうがわかりやすい。
果して、「パーして」は大人に合った言葉なのか??
大企業の社長さんに、看護師さんが「パーして」なんて言うのだろうか?
もし言ってしまったら、どなるのだろう?
大人には子供に使う言葉より、「手を開いてください」。
これで十分伝わるのではないでしょうか。
コーチングでは、相手に合わせることで、安心感を作り出し、短時間で信頼関係を築くために
「ぺーシング」を行います。
みなさんもお客さまにぺーシングしていますか?
小さい子供にも、ビジネスマンにも、耳の遠いお年寄りにも、同じ対応をしているなんてことはありませんか?
お客さまのペースに合わせるのでなく、自分のペースにお客さまを合わさせていませんか?
意識していないと、誰にでも起こり得ることです。
子供の目線に“姿勢”を合わせる。
忙しいビジネスマンの“リズム”に合わせる。
お年寄りが聞き取れるように、ゆっくりはっきりと話す“スピード”を合わせる。
営業先の担当者に、“表情”や“話の内容”を合わせる。
 ぺーシングを行ってみるだけでも、お客さまは安心して話せるでしょう。
《ホテルのフロント勤務時代に出会った光景》
チェックアウトで並んでいるお客さまの中に、某エアラインの客室乗務員(FA)さん、背の低い年配の女性がいました。
年配の女性が、FAさんに「あなたの飛行機に昨日私も乗っていたんですよ」と話し掛けました。
すると、そのFAさんは、女性の目の高さまで中腰になって、女性に合わせてゆっくりと頷いたり、
相づちを打ちながら、お話を聞かれていました。
さすが身についたぺーシング。
機内のようでした。


CRM(お客さまとの関係づくり)+コーチングでスキルアップ


6月25日開催『お客さま対応のスキルアップ・セミナー』のお申込をWEBからもいただいています。
このホームページをホテルやホスピタリティ産業、サービス業で働く方々に、ご覧いただいているのだな、と実感しました。
本当に嬉しく思っています。
昨今、“コーチング”という言葉がよく聞かれるようになってきました。
ホテルで働く皆さまの中にも、コーチングに興味をお持ちの方も増えてきています。
今回のセミナーでは、CRM(Customer Relationship Management/お客さまとの関係づくり)を中心に、
コーチング・コミュニケーションを取り入れた内容となっています。
おひとりお一人が、ご自身の実際の業務に落とし込みながら考えていただけます。
サービス業で働いている方だけでなく、これからサービス業で働きたいと思っている方も、ぜひご参加ください。
あなたのワクワクを発見するきっかけにしてください。
☆セミナーお申込・詳しくはチラシをご覧ください。
http://www.a-relation.com/0625.html


セミナー企画準備


お客さまとの対応を楽しめない、そう感じているホテルやサービス業で働く人も結構いらっしゃるのではないかと思います。
私もそんな時がありました。
私は、ホテルを辞めてから、コーチングに出会いましたが、ホテルで働いている時に、出会っていたら、
きっと自分自身のコミュニケーション力が向上していただろう、もっと仕事が楽しくなっていただろうと思います。
だからこそ、仕事を楽しむ方法のひとつとして、コーチングを活かしてもらえたら、という私の思いからスタートした企画です。
“テーマは何がいいだろう?”
私自身、実際の現場で働いていたのは、すでに過去のこと。
私の考えではなく、いろんな人の生の声を聞き、現状を把握したうえで、テーマを決めたいと思いました。
そして、ホテルや店舗販売などサービス業に従事している友人・知人に、普段、お客さまと接する時、
どんなことに困っているか、どんな内容をセミナーで採り上げてほしいか等、アンケートをお願いしました。
また、サービスする側だけでなく、お客さまの立場からの意見も聞きたいと思い、
サービス業ではない友人・知人にも、お客さまの立場で、サービスする側と、うまくいかなかった、
困った、腹が立ったこと等も合わせてアンケートに協力してもらいました。
さらに、コーチングをよく理解されている東京のホテルで働いている方からも意見をいただきました。
(この方からは、このホームページを制作する際にも、アドバイスをいただきました。
いつもご協力ありがとうございます。)
今回のアンケートでたくさんの意見を吸い上げることができました。
アンケートにご協力くださった皆さま、さまざまな視点からの貴重なご意見、本当にありがとうございました。
セミナー内容は、机上ではなく、アンケートと私のホテル経験をもとに、講師の遠藤コーチと共に考えましたので、
お客さまと接するお仕事の方には、興味を持っていただけると思います。
今回、セミナーを企画するにあたり、『サービス業はコミュニケーション業』なのだと再認識しました。
サービスに唯一の答えはなく、とても深いものです。
お客さまとのコミュニケーションの意味を考え、皆さんがイキイキと楽しく働くためのセミナーにしたいと考えています。
○セミナーお申込・詳しくはチラシをご覧ください。http://www.a-relation.com/0625.html


『お客さま対応のためのスキルアップ・セミナー』開催にあたって


6月25日(土)に大阪で『お客さま対応のためのスキルアップ・セミナー』を開催します。
私のやりたかったことのひとつが動き始めようとしています。
15年間、いろんな経験をさせていただいたホテル業界、サービス業で働く人達に、
外から何か私に出来ることはないだろうか、と考えていました。
そのひとつとして、自分自身のホテルでの経験を踏まえて、ホテルやサービス業で働く人が、
より一層仕事が楽しくなるようなセミナーを提案していこう、そんな思いを持ちつづけていました。
そして、私の思いを形にできるコーチと出会うことができました。
東京を中心に全国で活躍中の遠藤氏のコーチング・セミナーは、きっと実り多いものとなると自信を持っておすすめします。
今後もさまざまなテーマで公開セミナーを開催していきたいと思います。
セミナーお申込・詳しくはhttp://www.a-relation.com/0625.html


94%の顧客が「大満足」と言ってくれる私の究極のサービス  ジャック・ミッチェル著


94%の顧客が「大満足」と言ってくれる私の究極のサービス
原題は“Hug Your Customers”。
読み終えると、原題がいちばんしっくりくることに気づきます。
<Hug>は、身体的に<抱きしめる>というよりも、
心のハグ、お客さまの心をハグする、お客さまを従業員が心からハグする、
そういう意味が込められています。
著者は、米・コネチカット州で二軒の洋服店を経営し、顧客サービスも経営も非常にレベルの高い店舗を作り上げ、
“卓越した顧客サービス”を実践しています。
本書では、実際に、実践されている顧客サービスの事例が豊富に紹介されていて、
人の心が動く瞬間が、どんなものなのかよくわかります。
成功例ばかりでなく、失敗例も挙げられていて、小売の方はもちろん、サービス業全般に応用できるアイデアが満載です。
何かしらヒントを見出すことができるでしょう。
また、1.人材、2.サービス、3.商品・・・“優れたスタッフこそ最高のサービスである”と断言しています。
私の友人がこんなことを言っていたのを思い出しました。
「最近、マニュアルから外れたイレギュラーなことを聞くと、
何を言ってるのかわからないみたいな態度をされたり、ひどいのになると、
こっちがバカみたいに取れる態度をされることがある。
最近、ボキャブラリーの少ない人も多いからかな?
話が平行線みたいな会話になっている時がある。」
こういう従業員は、この店舗には、まず、いないでしょう。
採用の段階から違うのですが、型にはまった思考を捨て、お客さまのために何が出来るか、
組織の一人ひとりが独創的な思考をしながら、ハグを実践します。
型にはまったサービスを越え、ハグは世界を駆け巡ります。
そして、何よりも、仕事を楽しみ、お客さまをハグすることを楽しんでいます。
自分の会社の経営者と雲泥の差だ、だから従業員レベルでは何もできない。
自分自身こんな経営者になれない。こう思う方もいらっしゃると思います。
書のようなサービスができなくても、そういうマインドを常に持っている、心の中に留めておく、
ハグのマインドに触れることができた、それだけでもよいのではないでしょうか。
日本語タイトルを見る限り、たいそうすぎて敬遠してしまいがちですが、
内容はホスピタリティに溢れています。
著者が伝えたいことは、原題の“Hug Your Customers”に、すべて込められています。
小売業の方だけでなく、サービス業に従事する方にも、ぜひ読んでいただきたい良書です。


『箱 Getting out of the box』


ジ・アービンガー・インスティテュート著 『箱―Getting Out Of The Box』 は、
最近読んだ本の中でおすすめの一冊です。
2001年発行ですので、ご存知の方も多いと思います。
この本は、知り合いのコーチが、別のコーチから“コーチングの本以外でよかった本”として薦められ、
読んでみたらとてもよかった、というお墨付きの本でした。
読んでみる価値あり!です。
上司や同僚との関係等ビジネス上だけでなく、夫婦や家族との関係にも共通する内容です。
(詳しい内容はアマゾンをご覧ください。)
この本は、わかっているつもりで、つい忘れがちな“他の人も自分と同じ一人の人間だ”ということを
再認識させてくれます。
“自分自身を知る”ことの大切さなど、コーチングと通じる点もたくさんあります。
誰もが経験のある事例がわかりやすく挙げられているので、読みながら、自分自身のこと、
自分の周りの人との関係に落とし込んで考えていくことができます。
「家族も会社も人間でできている組織なんだ」― 最後のほうにあったこの一文がいつまでも心に響いています。


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